令和7年3月定例会一般質問①食料安全保障及び食の安全・安心について
更新日:4 日前

『食料安全保障及び食の安全・安心について』
⑴食料自給率について
現在、我が国におけるカロリーベースの食料自給率は、東京大学特任教授の鈴木宣弘先生の試算では、令和4年の農林水産省の統計から全国で37.6%と、約3分の2を海外に依存しております。その中において自給率80%と言われる野菜は、種の9割を海外に依存していることを考えると、物流停止によって自給率8%、種が止まればなんと自給率は4%にまで下がります。鶏卵も国産率97%と言われておりますが、ひなの輸入がとまればほぼ0%。化学肥料の原料であるリン、カリウムは100%、尿素は96%を海外に依存しており、なんらかの理由で輸入が止まれば、日本の農業はたちまち壊滅状態になります。
加えて、農薬、化学肥料、資材や燃料などの高騰によって収益性が上がらず、試算においては、米農家の平均時給は全国で10円とも言われ、経済的に困窮している農家がほとんどであり、担い手不足が深刻です。第1次産業の自殺者は全国で1年間400名弱、毎日1人以上のかたが自ら命を絶っているような現状です。最近では獣害問題も出てきており、更に経営を圧迫している現状です。
法的な側面においては、種子法の廃止、種苗法改正によって自家採種が禁止されましたが、愛媛県においては4年前に『愛媛県の未来を創る農業・農村振興条例』が制定され、稲、裸麦、小麦及び大豆の主要4品目が保護されており、優良な種子の生産、供給及び普及を促進するため、必要な施策を講ずることができるとあり、県内においてはなんとか4品目については踏みとどまっております。
昨年改正された農業の憲法と言われる『食料・農業・農村基本法』において、食料安全保障については、相手国の多様化によってリスクを分散したり、経済的投資の見返りとして安定的な輸入を確保したりするとあります。しかしながら、食料安全保障とは、本来金では買えなくなった事態を前提にしたものでなければなりません。まさに危機をあおるのではなく、危機に備えることこそが安全保障です。
また、西条市における食料自給率確保について、農業従事者の皆さんの高齢化を考えると、今後の担い手不足、耕作放棄地対策は、高齢のかたが離農せざるをえないタイムリミットを考えると喫緊の課題であることは間違いありません。
以上の点を踏まえ、質問いたします。
現在の西条市における食料自給率をお答えください。
(市の答弁)
⑴食料自給率について
我が国のカロリーベース食料自給率、以下、自給率と言います、は、令和5年度現在、38%で、諸外国と比較して低い水準となっており、近年は横ばい状態が続いております。また、県の自給率は、直近の令和4年概算値で36%、20年前の平成16年で38%と、こちらも同水準で推移しております。
本市の自給率は、平成18年以降、米、麦、大豆、野菜、果実、肉、魚介類と全ての品目において市町村別の生産量が国から示されなくなったため、近年の数値を示すことはできませんが、統計が残る約20年前の数値で約70%でありました。このことから、本市の自給率は多少の変動はあるものの、現在も国・県と比較しても高い水準にあるものと推察されます。
⑵有機農業について
私は長年のサッカープロコーチ、監督の経験から、食が選手のパフォーマンスやけがに直結することを学びました。また、大学院においてはスポーツ医科学を学ぶ中で、栄養学の重要性を認識しております。
これはスポーツの世界に限ったことではなく、一般社会においても同様であり、食が私たちの命や健康に直結していることは間違いありません。
一般に言われる栄養学においては、例えばタマネギやジャガイモ、ニンジンを100g摂取すれば、この栄養素は何gという計算をします。しかし、除草剤の有無、化学肥料なのか、有機肥料なのか、農薬の有無など、その作物がどういう育ち方をしたのか、私たちの健康を大きく左右する要素は考慮されておりません。
例えば、除草剤の中にはグリホサートと言われる発がん性の極めて高い成分を含んでいるものがあり、海外では多数の訴訟が起こされ、販売できない国が多くある一方、我が国では逆に規制を緩和して、ホームセンターやドラッグストアに並んでおります。
また、化学肥料について、作物は硝酸態窒素を土から吸収し、光合成でアミノ酸に分解されることによって生育していきますが、硝酸態窒素が作物に残留したり、地下水へ混入したりした場合には、過度の摂取により、発がん性やメトヘモグロビン血症など多くの問題が懸念されます。
ネオニコチノイド系の農薬は、これまで昆虫には効き、人体には影響ないと言われておりましたが、近年では私たち大人はもちろん、特に子どもたちの脳神経に重大な作用を引き起こすとも言われております。
現在、ほとんどの農家のかたが除草剤、化学肥料、農薬を使用した慣行農法を営んでおります。しかし、私たちの命や健康を守るとともに、農家の方たちの経費負担を減らした上で、作物の安全性、付加価値を考えた場合には、できる限りリスクを減らすとともに、減農薬や減肥料に取り組み、食の安全・安心を確保していかなければならないと考えます。
また、国にはみどりの食料システム戦略というものがあり、2050年までに有機農業に取り組む耕作面積割合を現在の0.5%から25%まで上げるという目標を掲げております。
地産地消、医食同源、身土不二という言葉もあるとおり、私たちの体の腸内細菌は、生まれ育った土地の作物が消化に一番負担がなく、健康にいいということは研究結果でも分かっております。
これらのことを考えると、理想は除草剤や肥料、農薬に依存しない地産地消の自然栽培農業が理想ではありますが、一足飛びに自然栽培農業への移行実現は現実的には困難な状況であります。減農薬、減肥料から有機農業、自然栽培農業への段階的な移行が必要であると考えます。
以上を踏まえての質問です。
現在の西条市の有機農業の現状をお答えください。また、他市の取組の事例、今後の取組についてもお答えください。
(市の答弁)
⑵有機農業について
ア、現状について
本市は従前から有機農業への取組を支援するため、国の環境保全型農業直接支払交付金を活用し、事業に取り組んでおります。
本交付金は、農業の持続的発展と農業の有する多面的機能の発揮のため、農業生産に由来する環境負荷低減や生物多様性の保全等に効果の高い農業生産活動を支援するもので、国が定める有機農業や化学肥料、化学合成農薬の5割低減の取組と併せて行うカバークロップの施用等の取組を行った農業者が組織する団体に対し、その取組面積に応じて補助をするものであります。
令和5年度の有機農業の取組については3団体、面積506a、金額607,200円を交付しております。また、令和6年度については3団体、面積662a、金額794,400円を交付見込みとなっております。
国は、みどりの食料システム戦略の中で、2050年までに目指す姿の一つとして、耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を25%、100万haに拡大することを目標としておりますが、本市の有機農業は令和6年度環境保全型農業直接支払交付金実績見込みで約6.6ヘクタール、全経営耕地面積約4,000haに占める割合は0.165%であり、令和4年度の全国平均0.7%と比較しても低い水準にあります。
その理由としては、有機農業に取り組むことにより増加する労働力が農産物にじゅうぶん価格転嫁しにくいこと、雑草の管理や農薬の飛散等について慣行栽培を行う農業者との調整が必要なこと、消費者の理解の醸成が必要なことなどが考えられます。
イ、他市の状況について
県内の先進事例では、今治市は昭和57年当時、今治立花農協で学校給食に地場産野菜や有機農産物を導入するよう市に陳情をしたことを契機として、翌年、昭和58年以降、各小学校で順次、学校給食へ有機農産物を導入し、その後、平成18年には有機農業の振興を基本理念の一つに掲げ、今治市食と農のまちづくり条例を制定するなど、40年の歴史があり、現在では約70名の有機農業者が約55haを栽培していると聞き及んでおります。また、令和6年3月には有機農業の生産から消費まで一貫し、農業者のみならず、事業者や地域内外の住民を巻き込んだ地域ぐるみの取組を進めるオーガニックビレッジ宣言をしたことは承知しております。
ウ、今後の取組について。
国は改正食料・農業・農村基本法において、人口減少下における農業生産の方向性の一つとして環境負荷低減の促進を位置付け、令和6年度からは農林水産省全ての補助事業に対し、最低限行うべき環境負荷低減の取組の実践を義務化すると、環境と調和の取れた食料システムの確立を目指すこととしております。
こうした中、本市としましても、農業者の確保・育成や耕作放棄地の予防・解消等、課題解決だけでなく、有機農業に取り組める体制の整備やスマート農業の推進等、本市の基幹産業である農業をどのように守り、育てていくかを議論する場として、昨年10月に行政や農業者、学識経験者で組織する西条市農業の産地戦略推進協議会を立ち上げたところでございます。
本協議会においては、さまざまな課題や施策について協議を実施することとしておりますので、その中で、今治市をはじめとする先進各市の事例を参考にしながら、今後、有機農業の推進について検討して参りたいと考えております。
(再質問)
今、二つさせていただいた質問で、農家の高齢化を考えると、ほんとうにタイムリミットというのは来ていると思います。一つ目の質問、二つ目の質問、これは車の両輪のように、ほんとうに有機農業の推進とオーガニック給食導入、これもセットになっていると考えております。
ほんとうに農家の高齢化を考えると、やっている事業のスピードと、あと農家の方たちの高齢化を考えると喫緊の課題であると思っております。それについての市のお考え、そのタイムリミットと推進のスピード、それについての危機感についてお答えいただければと思います。
(市の答弁)
議員おっしゃるとおり、地域農業は高齢化や担い手不足、耕作地の減少など、本市に限らず全国的に見ても農業を取り巻く環境は厳しい状況であることは認識しております。
さきほども申し上げましたとおり、西条市農業の産地戦略推進協議会を中心として、協議・検討を重ね、持続可能な農業の推進に努めて参りたいと考えております。

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